スポーツ栄養相談室

ここでは、松本大学大学院健康科学研究科准教授、呉泰雄(オテウン)先生に、運動している子ども、あるいはその保護者のために、何を、いつ、どのくらい食べればいいのかを解説していただきます。

新陳代謝

健康のために或は競技のために運動をしている人は多いです。

運動効果を上げるためには食事の内容によって左右されることはよく分かっていますが、実践しにくいですね。なぜならば、人間の細胞の数はおよそ60兆ですがたえず生まれ変わっていて、食事の良し悪しは数カ月後に判明されるわけです。ですから今日の食事の内容が悪くても、今すぐ身体に影響を及ぼすことはないので分かりにくいのです。

今日の食事が半年後の身体をつくっているわけです。 食事はトレーニング(健康のための運動)の一部だと思ってください。

カロリーとはエネルギーの単位

みなさんご存じなように、車はガソリンを燃料として走りますが、人間は食べ物から考えたり走ったりしますね。

人間のエネルギー源は食べ物です。そこで単位として考えた場合、 ガソリンの単位はℓ(リットル)ですが、食べ物の単位はキロカロリー(Kcal)になります。

皆さんがよく言っているカロリーというのは食べ物の単位でありました。たとえば、肉まんを食べると約250Kcal摂取することになり、これを消費するためには時速10Km程度に30分間走らないといけない計算になります。

スポーツするカラダに必要な、各パーツの働き

  1. 骨ーボディの剛性を司る“シャシー”
  2. 筋肉ー推進パワーを生み出すエンジン
  3. 血液ー燃料をエンジンへと送る運搬役
  4. 神経系ー指令を各パーツに伝達する “電機系”

 

基礎代謝

人間が健康を維持するためには摂取エネルギーと消費エネルギーが平衡状態を保っていなければなりません。

人間はエネルギーを基礎代謝、生活活動、身体運動(トレーニング)に使います。

体重当たりの基礎代謝量は子供の頃が最大で、歳をとるとともに低下します。

基礎代謝は1日の消費エネルギーの約6~7割を占めます。基礎代謝が低下すると消費エネルギーも少なくなるので太りやすくなります。ですから身体活動量が同じだとした場合、若い時と同じ食事をすると太りますよね。

BMI (Body Mass Index)という「体格指数」

BMI=体重(kg)÷身長(m)2

世界でもっとも広く使われている肥満判定用の物差しで、日本では25以上を肥満と判定します。

皆さんもぜひ自分のBMIは知るようにしましょう。

健康運動

世の中には健康のために行われている運動って一杯あります。どの運動が健康にいいのか悩んだことありませんか?

まず、健康運動の基礎を勉強しましょう。世界のスポーツ科学者だちが科学的根拠をもとに健康運動の様式を以下のように発表しました。「大筋群を使い、持続的でリズミカルな有酸素運動なら何でもよい。

例えば、ウォーキング・ハイキング、ランニング・ジョギング、サイクリング・自転車漕ぎ、クロスカントリースキー、ダンス、縄跳び、ボート漕ぎ、階段上り、スイミング、スケート、その他持久的なスポーツ」

また、運動の持続時間も以下のように発表しました。「高い強度の運動は危険性が高く、長続きしないなどの問題があるので、長時間にわたって行われる中等度の運動の方が推奨される。」

結局、テレビなどで健康運動と言っているものは大筋群を使い、持続的でリズミカルな有酸素運動だったのです。逆をいうと健康運動って特別な方法があったり、難しい理論があったりするものではありません。健康運動の概念をしっかり理解して楽しく続けられればなんでもいいと思います。

たとえば、ガーデニングを楽しく毎日やられる方も立派な健康運動になるし、写真を撮るのが趣味な方は特別な運動するより、今まで写真を撮りに車で行ったところを自転車或は歩いていくことによって楽しく身体を動かせることができると思います。

明日から自分なりの「健康運動」始めませんか?

スポーツ選手の貧血

スポーツ界では女子アスリートの貧血が大きな問題としています。ここでは貧血の話をしたいと思います。

血液の働きで最も重要な仕事は、酸素を全身に運搬することです。この働きをつかさどるのは、血液中の赤血球にある血色素(ヘモグロビン)であります。血液が酸素を運搬する能力は、ヘモグロビン量とほぼ比例しますが、貧血とは赤血球およびヘモグロビン量の減少からおこるものです。

貧血の主な症状としてはつかれやすい、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、頭痛、顔面蒼白、耳鳴りなどがありますが、緩やかに進行すると自覚症状を伴わないこともありますので気をつけましょう。

スポーツ選手の貧血の原因は①血液希釈 ②血球破壊と血色素尿によるヘモグロビンの対外への損失③発汗に伴う鉄の損失④赤血球産生の減少があります。

特に女子スポーツ種目では体重制限などが激しいものが多いですので頻繁に子ともたちの様子をチェックしておきましょう。

水分補給

水は無色、無味、無臭の溶液であり、人間は体重の20%の水を失うと死んでしまいます。

身体の中での水の働きは

  1. 血液やリンパ液などの体液の濃度やホルモン分泌の調節
  2. 発汗による体温調節
  3. 栄養分の運搬
  4. 老廃物の排出などがあります。

スポーツ選手を含む活動量が多い人たちの水分補給で一番重要な機能は体温調節です。

水分は汗の重要な成分であり、皮膚表面から蒸発することによって過度な体熱を下げ、運動能力が維持できて「熱中症」の予防にもなります。

一日どのくらいの水分が必要かというと成人の場合、体重の約4%前後であります。たとえば体重70kgの男性で最低でも1日あたり1.5~2.0Lの水分が必要となります。

水分補給が十分にできているかを調べる一番簡単な方法は、尿の色と量を調べることです。色が濃く、尿量が少ない場合は、もっと水分をとる必要があり、色が薄い黄色で、尿量も普通であれば、水の出納バランスは正常に保されているとみなすことができます。

また、運動前後の体重を量ることによって適正補給量を知ることもできますのでぜひやってみてください。

発汗によって失われるのは水分だけではなくミネラルも含まれていますので長時間の運動による大量に汗を掻いた場合には、運動中にミネラルの補給も考えなければならないです。そこでスポーツ現場ではスポーツドリンクがよく飲まれています。一般的なスポーツドリンクには、ミネラルや糖分なだが含まれていつからです。最近では、各種アミノ酸類やビタミン類を添加した物や、口当たりが良いように、様々な工夫されたものが出回っています。何が一番いいスポーツドリンクかというと自分が飲んでみて飲みやすい味であればいいと思いますので自分にあったスポーツドリンクを見つけましょう。

サプリメント

世の中には様々なサプリメントがあってどのサプリメントがいいのか結構迷う方が多いと思います。

基本的にサプリメントの摂取は食事から十分に取れない場合でありますので無意味にとる必要はありません。たとえば、運動選手であれば強化合宿などで食欲がなくて食事があまりできない時とか、海外遠征で食事が合わないなどです。

一般人であれば激しいダイエットなどやっていて食事制限をしている人などですね。

普通に食事ができるのであればサプリメント摂取を考える必要はないと思ってください。

また、栄養素ではない成分を含んだサプリメントを利用する場合は科学的な根拠を確認してから飲んでください。

試合前・中・後の食事

試合前の食事で最も大切に考えないといけないことは「安全性」であります。当然ながら、試合前の食事でお腹を壊したりすることでコンディショニングが崩れていたら今までのトレーニングが泡の水となりますので気をつけないといけないですね。ですからできるだけ生モノなどは避けた方がよいでしょう。試合前夜には、すべての競技において高糖質の食事を摂取しましょう。高糖質を摂取することによって車のガソリンを満タンにしておくことと同じように長く運動ができるようにしてくれます。

試合間の補給では水分補給も大事です。アスリートの疲労の原因で最も大きな要因は糖の貯蔵量の減少であり、その他、不十分な回復、低血糖、脱水などがありますのでしっかり食事をとりましょう。

しかし、試合後の疲労感から食欲がない場合は食事をこまめに分けて食べたり、捕食を利用しましょう。

運動時の食事

食事は1日3食が基本ですが、臨機応変に調整は必要です。

食事時間は運動開始・終了時間と関連させて調整してください。

運動開始2~3時間前、そして運動終了後はなるべく早く摂取することが望ましいが、食べれない場合は100%果汁ジュースやエネルギー系のゼリー、ヨーグルトドリンクなどで捕食をとっておくことも大事です。

また、食事時間が不規則の時、食事時間が設定できない時、一度にたくさん食べれない場合は必ず捕食を取り入れましょう。運動する場に捕食を用意する場合は保管場所に十分注意してください。

毎日美味しく食事ができればいいですが、様々な要因で食欲がない場合がありますのでその時は食欲増進の工夫をしないといけません。たとえば、香辛料を使ったり(使いすぎないように)、主食を麺類にしたり、食欲増進食品(白菜キムチ、ふりかけなど)を常備しておくといいでしょう。

健康栄養

外食時の食事調整

外食の献立は全般的に脂質が多く、副菜の野菜類が少ないためビタミン・ミネラルが不足しがちである。

  • 丼より定食ものを選ぶ
  • 具が多いメニューを選ぶ
  • 足りない物は他の食事でカバーする(1日中で調整する)
  • 脂肪の取りすぎに注意する

コンビニエンスストアでの食事調節

幕の内弁当のようにいろいろな食材が入っているものを選択することと単品の組み合わせを工夫するとよい。

栄養教育

自宅の場合

食品の選択や調理法の工夫など調整しやすい。食事をつくる人に対し栄養教育および食事管理について指導を実施。

一人暮らし(自炊)の場合

短時間で簡単、手間がかからない献立、作りおきや冷凍保存の方法、買いおきして常備したい食品など

合宿所・寮の場合

献立内容を検討し、調理担当者や献立作成担当者などと相談しながら、望ましい献立内容への改善を試みるが難しい場合は競技者各自で不足分を補うなど調整する必要がある。

栄養教育を行うと以下のような効果がありますのでぜひ教育してくださいね。

  • 正しい食事の選択ができるようになった。
  • 食卓を預かる母親の意識が向上した。
  • ケガが少なくなり、治りも早くなった。
  • スタミナがつき、連日の試合でも最後まで集中力が持続できるようになった。
  • 同クラブの下級生も、食事に興味を持つようになった。

 

以上で運動と栄養に関する知識を簡略に紹介しました。

健康運動或は競技選手などの皆さんに少しでもお役に立ってれば幸いです。

 准教授 呉 泰雄(オ テウン)

もっと詳しいことを知りたい方は「健康運動・スポーツ栄養相談室」

松本大学大学院健康科学研究科ホームページ HP


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